禅宗物語
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どこに佛がいないか

ある禅師が勤行している時、仏殿で急に咳をして、噴き出した痰が仏像に付いてしまった。律師がそれを見て、「けしからん、痰を仏像に吐くとは!」と叱った。

 その禅師はまた咳をして、「一体、虚空のどこに仏がいないのか、教えてください。私はまた痰を吐くが、どこに仏がいないのか教えてください。」と律師に言った。

 この痰を吐く人はすでに「仏性は虚空に満ち、法身は宇宙に詰める」ということを悟った。痰を仏体に吐くことを責めたのは、仏を尊敬するからだと思っているかもしれないが、実はまさに仏とは何かということさえ分かっていないのだ。仏の法身は虚空に充満し、法界に満ちている。そのため、この禅師は、「どこに仏がいないのか教えてください」と言ったのである。

 このように質問されて、あなたは答えられるだろうか。答えられないとすれば、「道」というのは一体どういうものなのか、まだ悟っていないに相違ない。たとえ悟ったとしても、このように質問されると、たちまち、その霊的な知恵と禅機(禅者が発揮する臨機応変なはたらき)がそれによって展開されるのである。

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