禅宗物語
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生まれつき怒りっぽい

  盤珪禅師(ばんけいぜんじ)の説く法は分かりやすくて、よく終わる前にその場で信者たちの質問に答えるので有名でした。したがって、禅師の名を慕って遠くから来る信者がたくさんいました。

ある日、ある信者が「私は生まれつき怒りっぽいです。何か直す方法がありませんか。」と聞きました。

禅師は、「生まれつきってどういうことでしょうか。それを見せてくれたら、直してあげます。」と盤珪禅師は逆に質問しました。

「今はありません。何かあったら、生まれつきですぐ怒りだすのです。」

「今はなく、偶然の時しか出てこないようなものでしたら、他人と争う時、自分で作り出したものです。しかし、生まれつきといって、両親のせいにするのは自分勝手ではありませんか。」

この話を聞いて、信者はさっと悟って、二度と簡単に怒らなくなったのです。

世の中に、生まれつきのものは一つもありません。自然は「えん」によって集合しています。また全てを網羅しています。人の本性には諸々の善悪の心ががあります。いわば「心が生ずれば、種々の法も生じ、心が滅すれば、種々の法も滅す」というように、心があるだけで、直せない悪い癖はありません。


 

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