禅宗物語
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邪か正か

 

仲興禅師(ちゅうこうぜんじ)は道吾禅師(どうごぜんじ)に仕えていました。ある日、仲興禅師がお茶を入れるとき、「邪か、正か。」と道吾禅師に聞かれました。

仲興禅師は道吾禅師に近づき、黙ったまま立っています。

道吾禅師はまた「邪は邪で、正は正だ。」と語りました。

仲興禅師は首を振って「私はそう思いません。」と言いました。

「君の考えは?」と道吾禅師が聞きました。

仲興禅師は道吾禅師の手に持っている湯飲みを手に取って、「邪ですか、正ですか」と大声で聞き返しました。

道吾禅師は手を打って、笑い出しました。「さすがわしの弟子だ。」

仲興禅師はそこで礼拝しました。

道吾禅師の「邪か、正か?」という質問に深い意味があります。いわば「邪人の説いた正法は邪であり、正人の説いた邪法は正である。」です。

仲興禅師は「もろもろの法は縁によって生じる。もろもろの法はまた縁によって滅する。」と言いました。一方、手に持っているものに執着が有れば、すべてが邪となると表明したのです。仲興禅師はこれを以って聞き返し、道吾禅師によしとされ、、ほめられたのです。

 

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