無刀流の開祖である山岡鉄舟は明治時代の剣・禅・書の達人として知られている。若い時、彼はよく禅道の有名な師匠を訪ね回っていた。ある日、相国寺の独園和尚と出会った。
自分の悟性を現すために、彼は得意顔で独園に「心、仏および衆生はすべて実体なし。一切皆空だ。あらゆる現象の本質も空だ。悟もなく、迷もなし。聖もなく、俗もなし。そして施もなく、受もなし」と言った。
それを聞いて、独園は返事もせず、ただタバコを吸っているだけだった。少しして彼は急に煙草のパイプをあげ、鉄舟の頭を叩いた。叩くことによって、この若い禅者を怒らせたのだ。
「たった今、『一切皆空』と言ったのに、その怒りは一体どこから来たのか?」と独園は笑って尋ねたということである。
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