十方苑(じっぽうえん)は霊隠寺の精進料理館です。霊隠寺の天王殿の右前方にあります。精進料理館には正門の上に「十方苑」と書かれた額が掛かっています。正面に向かって2メートルぐらい入ると、仏壇があります。仏壇の上には、「南無大聖緊那羅王菩薩」(なむたいせいきんならおうぼさつ)という位牌があります。佛教では緊那羅王菩薩は料理人を管理する菩薩です。また、中国各地で、この菩薩に関する説話が古くから伝わっています。そのため、中国の漢傳寺院(かんでんじいん<中国式仏教寺院>)の台所では、天の加護を祈るため、この菩薩を祀るのです。「十方苑(じっぽうえん)」の内部は、両側に分けられて、縦にテーブルと椅子が並んでいます。正門のすぐそばにレジがあります。
霊隠寺は多くの人に精進料理を通して佛法を伝えるため、精進料理館を設立し、「十方苑」という名を付けました。入り口の対聯(たいれん)は「客聚南北、同餐共食僧家素、縁結東西、合種無上菩提因」(客は南北に聚まって、共に僧家素(そうかそ<精進料理>)を食べる;仏縁を東西に結び、ぜひこの上ない菩提の種を今植え付けるべし)というものです。
7075 人数