霊隠寺の法堂(ほうどう)は「直指堂」(じきしどう)とも言われ、薬師殿(やくしでん)の後ろに位置し、霊隠寺では第四の境内(けいだい)の殿堂です。
直指堂は説法する主な場所です。「直指」とは仏教の専門用語で、「人の心に直面する」という意味です。霊隠寺は古くから有名な禅宗道場であったため、法堂を「直指堂」と名づけて禅宗の法堂であることを表明しています。
法堂の真ん中には東陽木の木に彫刻された精美な教壇があります。教壇の上に法師が説法する時に座る「獅子座」(ししざ)があります。法師が如来の正法を唱えることによって、外道邪悪(げどうじゃあく)を打ち破ることがてきます。まさに獅子が大声で吼えて、獣を服従させるような勢いです。したがって、その座を「獅子座」と名づけたのです。獅子座の後ろには法堂の象徴である精緻な「大法輪」が掛かっています。「法輪」(ほうりん)とは、仏陀の説法で衆生の悩みを漏らすことなくはらすことができる大きな法の輪(りん)のことです。まさに巨大な車輪を転がして、どこまでも止まることなく、全ての大きな岩石や小石を砕いて行くようなものだとのことです。
現存する法堂は、明(みん)の正統(せいとう)11年(1446年)に、霊隠寺の僧侶である弦理(げんり)によって建てられたものです。
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