霊隠寺の大寮(だいりょう)は斎堂(さいどう)とも言われ、天王殿の右側、十方苑(じっぽうえん)の裏側に位置しています。
大寮は寺院の生活する場所として、主に斎堂と僧厨(そうちゅう<僧侶の台所>)からなっており、僧侶たちに斎飯(さいはん<僧侶の食べる食事>)を供給します。
斎堂は五観堂(ごかんどう)とも言われます。「五観」とは、僧侶たちが斎飯を食べ始める時、食べている時、また食べ終った時、この間に自分の日常の修行を反省して信者の布施功徳(ふせくどく)をなくすことのようにします。この行為は同時に僧侶たちの斎堂での修行法の一つでもあります。方丈の座席の後ろの壁に「五観」の内容が書いてあります。すなわち、五観とは、一、功の多少を計り、彼の来処を量る。二、己が徳行の全欠を忖って供に応ず。三、心を防ぎ過を離るることは貪等を宗とす。四、正に良薬を事とすることは形枯を療ぜんが為なり。五、成道の為の故に今この食を受くという内容です。
斎堂は意外に広く、中央には台が一つ設けられ、台の上に弥勒菩萨(みろくぼさつ)がまつられています。ここは方丈の食事するところです。両側は僧侶たちの食事するところとなっています。そこには長いテーブルと簡単な椅子が置かれています。斎堂の出入口には拍子木(ひょうしぎ)と雲板(うんばん)が掛かっています。規定の時間に僧侶たちを集めるための道具です。
僧厨(そうちゅう)は斎堂とつながっています。ふつう、僧厨と斎堂を一緒に「大寮(だいりょう)」と総称しています。大寮での仕事は細かく責任が重大であるため、「僧厨」での分業も細分化されています。たとえば、典座(てんぞ)、飯頭(はんとう)、貼案(てんあん)、菜頭(さいとう)、水頭(すいとう)、火頭(かとう)、行堂(ぎょうどう)などという分業があります。
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