済公殿(さいこうでん)は「道済禅師殿」(どうさいぜんじでん)とも呼ばれ、薬師殿の東、東禅堂の下に位置しています。
済公殿の中央には済公像が置かれています。済公(さいこう)は右手に破れた扇を持ち、左手に念珠を握り、右足で酒罐(さけかん)を踏みつけています。済公像は青銅製で、高さ2.3メートル、重さ2.5トンあります。霊隠寺に保存された清の画僧竹禅(ちくぜん)の描いた済公画像がその原型となっています。
済公殿内の壁面には、十八枚の済公にちなんだ絵が掛かっています。どの壁画も幅と高さが同じく、3メートルで、長さが合計50メートルに達します。壁画は山水画の形で済公の伝説を述べています。壁画に見られる道済禅師は神通力が広大な金身羅漢(こんしんらかん)で娑婆世界(しゃばせかい)に入り、人から狂っていると評されるほどの奇矯(ききょう)な行いで、戒律を守らず、酒肉を好み、 神通力で悪人を懲らし、悩める人々を救済します。この壁画は中国美術学院の林海鐘教授が弟子たちとともに三年間費やして作りあげたもので、南宋時代の杭州の風景もよく再現しています。
済公は南宋の高宗の紹興(しょうこう)18年(1148年)に生まれ、嘉定(かてい)2年(1209年)に61歳で亡くなりました。浙江台州(だいしゅう)の人で、俗名は李心遠(または李修元)で、法名は道済(または済顛)です。霊隠寺で剃髪されましたが、後に浄慈寺(じょうじじ)に移り、そこで他界に行ったのです。
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