霊隠文化

禅茶论坛 9 禅茶文化の功能:感恩と結縁

 中国文化の一部分として、禅茶文化は中国伝統文化の精神が人生の日常生活に定着し、昇華したものである。中国の伝統的思想史では、儒家文化の精神は「正」、道家文化の精神は「清」、そして仏家文化の精神は「和」という一文字にそれぞれ集中的に表現される。つまり、儒家は正気、道家は清気、仏家は和気を重んじる。では、中国の茶文化の精神は何であるかと言えば、「雅」という一文字で表現できると思う。古今の茶人は飲茶をしながら話し合うのを雅事とし、茶人を雅士と呼んでいる。

  「正・清・和・雅」という四文字、四種の気が中国の伝統文化の主要な精神として概括される。禅と茶が結合した結果として出来上がった「禅茶文化」は、儒家の正気、道家の清気、仏家の和気もあれば、茶文化そのものの雅気もある。正・清・和・雅の融合こそ、正に禅茶文化の根本的な精神を示している。

  禅の精神は悟りにある。茶の精神は雅にある。悟りの反対は迷いであり、雅の反対は俗である。迷いから悟りまでは長期にわたる過程であり、俗から雅までも長期的な修養の過程である。禅茶文化は心性修養の特殊な形式として、当下の覚照を強化し、迷いから悟りへ、俗から雅への転化を目的としている。一念迷えば、禅は禅で、茶は茶で、清は清で、濁は濁で、雅は雅で、俗は俗でしかない。一方、一念悟れば、茶は即ち禅であり、禅も茶である。清は濁を清し、濁も清に変ずる。雅は俗を清し、俗も雅に転化されうる。

禅茶文化の精神は「正・清・和・雅」にある。この精神によって禅茶文化は哲学や倫理学と異なって、社会教化の機能が備わる。禅茶文化は人文的な配慮や日常生活を離れることができない。禅の観照と体得、また茶の仕度から離れることができない。この点から見れば、禅茶文化の功能を「感恩・寛容・分かち合い・縁結び」という四項目に概括するのが、もっとも相応しいと思われる。こうして、円やかで理が通り、雅俗も合一で、日常生活にも応用できる簡単性と現実性が含まれることになる。

  感恩――感恩の気持ちでお茶をいただく。ここには、ただの茶水だけではなく、人文的な精神があふれている。天地万物が平和に推移し、人々が助け合い、共融共済で、同体不二の精神が充満する。暴戻な気を解き、正気を広げ、和気を完成させる。

 寛容――分かち合いの気持ちでお茶をいただく。世間の恩讐は心身に有利な醍醐となって、茶の葉が香りと甘さを淡い水に溶かすように、世間の正気と和気を飲茶の中に溶かすことができる。

分かち合い――分かち合いの気持ちでお茶をいただく。他人の身になって考えてみる習慣を養成する。世間にはいろいろな苦しみがあり、社会にはいろいろな欠陥があるのをよく考える。私たちには愛を他人に捧げる義務があるので、私欲を減らし、公心を増やし、冷淡な気持ちを減らし、人への愛を増やすべきだ。

縁結び――縁結びの気持ちでお茶をいただく。茶の湯を味わうことによって、多くの方々と茶の縁を結ぶ。善縁・法縁、仏の縁を結んで、法の知恵・仏の慈悲・茶の香り・善の調和をもって、人生を浄化して、社会を和やかにする。

 禅茶文化の精神は「正・清・和・雅」である。禅茶文化の功能は「感恩・寛容・分かち合い・縁結び」である。正気を感恩に、清気を寛容に、和気を分かち合いに、雅気を縁結びに融合する。禅茶文化の精神を広げ、禅茶文化の実践をする。そのことが人心を結束し、矛盾を解き、自身の素質を上げ、他人と平和に共生することに役立つ。これこそ禅茶文化を広げようとする根源的な社会的価値である。

編集者:大鱼  編集日付:2013-08-05

 

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